やがて朝になりました。
少女は浅い眠りを繰り返し、繰り返し、
その合い間にクマを想いそっと涙を流しました。
おかあさんとケンカして自分が辿った山道。
迷って出会ったオスのクマ。
彼がわたしにくれた花、香り。
食パンに塗ったハチミツ。
口に含んだスープ。
腰を締め上げる毛むくじゃらの大きな手。
吐きそうなくらい硬いペニス。
あたたかな胸、びくともしない腕と肩。
そして最期に見た横顔。
彼は結局のところ最期まで私を愛してくれたんだわ。
白日の夜を経て少女は思いました。
彼はケモノ、ホントは私を食べてしまいたい、
でも愛してるから食べない、だから去った…去るしかなかった。
彼は結局のところ私を自分の中の野生から守リ抜いたのだわ。
そう少女は確信しました。
これでいいの。
これがいい。
きっとあなたは間違ってない。
あたし、強くなる。
そしていつか強くなったあたしと、
ケモノを捨てたあなたは、
この森、この山小屋でまたキスする。
きっとできる。
きっとまた会えるよ。
少女は本当に久しぶりに笑いました。
そして立ち上がり、
朝ゴハンをついばみにくるスズメにお構いなく、
力強く窓を開け放ちます。
まるで月曜日のように。
いつもの自分のように。
一方、少年は午前中ずっと惰眠をむさぼり、ゴロゴロとしていました。
生意気に今や少年は少女を名前で呼んだりしてます。
女を知った少年は妙に得意そうで、
少女におかしなことばかり言っては一人で笑ってます。
どこかのバカなj国会議員みたいで書き手も少しキレそうですが、
ここは物語の進行のためにグッと我慢しておきましょう。
午後になると少年は2回、昼とおやつの時間に少女を求めました。
少女はにんげんとの接点を回復させるために、つどそれに応じます。
少年はますます有頂天になりますが、少女は構いません。
実際のところ彼女にとって少年はにんげんとつながるための、
ただのしゃべるペニスに過ぎません。
2回目のSEXが終わると、少女は少年に「町へ帰ろう」と言いました。
クマのいない森は少女には無駄で不便な牢獄でしかありません。
少年はそんな少女の胸のうちなんて知りません。
安易に便乗する馬鹿な少年は少女に、
「そうだね、町には僕らの新しい生活が待ってるからね」と言いました。
少女はよく分からなかったので、ただ笑っていました。
そして少女は長い時間をかけて化粧をし、
一切のモレがないことを確信した後で、
少年に手伝わせてドアというドアを古い木で打ちつけ、
目の中にそれを焼き付けるように大きく深呼吸してから、
カッカと一人で胸を張って森を抜け、山を降りてゆきました。
その数十メートル後ろを、少年は小走りで文句いいながら下って行くのでした。
・・・・・・・・・・・・・・・10 years later・・・・・・・・・・・・・・・
少年は中途半端なサラリーマンになり、
少女は町で夜の女になります。
でも24歳になり町で偶然に会った二人は、
やがてカタチだけの愛のない結婚をするのでした。
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