わたしは小さなまるいものになって、
まいにちおそらをとんでいました。
いえ、とんでるっていうのはてきせつではないかもしれない。
だってあたしはただ浮かんでいただけだもの。
あるときおおきな風がふいて、わたしは勝手にはとべなくなりました。
どこかとおくへ、それはわたしをいわば強制的にとばしていったのです。
こわくて、ずっと泣いてました。
くらいくらい夜が何日もつづきました。
ふしぎですが、夜なのにおそらには星が見えませんでした。
わたしはたくさん泣きましたが、そのうちかんねんしてずっと眠ることにしました。
眠ればかなしみは消えるのはもっと小さいころから知っていました。
あるとき、目を覚ますとわたしはわたしになっていました。
寝て起きたらわたしはわたしだったのです。
なまえは・・・うまく思い出せません。
でもわたしでした。
おかあさんはわたしにぬいぐるみをつくったり、
洋服をつくったり、リボンのとめかたをおしてくれたりしました。
きほんてきにいいにんげんです。
でもおとおさんはあまりよくわからない。
いつもわらってないし、なにかいやなことがあるのかもしれません。
たまによろこんだと思うとわたしにキスしようとしますが、
わたしは、さっと逃げて、キー!といいます。
おとおさんはかなしそうにわらってます。
学校へはあまりいきません。
いってもみんなと話してもつまらないからです。
先生もすきじゃありません。
わたしはなるべく目立たないようにして生きてます。
でも教室にある、なかまだよみたいな空気や、
めずらしいものを見るような視線に触れると、
わたしはぞっとして息苦しくなります。
そんなとき、たいていは空気を吸うために教室を出て森に行きます。
それか森をうかいして町に出て知らない男とSEXをします。
SEXは好きですが、でもやっぱりわたしは森の方が好きだとおもいます。
森がないと、たぶんわたしは死んでしまうでしょう。
じっさいに死んだ方が楽な気もたまにするものです。
でもあるときわたしは森で大きなオスに出会いました。
それはにんげんではないけれど、
わたしを押さえ込むくらい強烈なチカラを持ったオスでした。
わたしはそのオスとかんけいしましたが、
それはまるでなにかを超える儀式のように感じました。
ぎりぎりとめり込んで痛いのは、きっと儀式にちがいないわ!
目が醒めたとき、わたしは次にナニモノになってるのかな。
ふふふ・・・なんかこわいけど、ちょーわらえます。
いま、わたしはわたしにさせたものへのお返しに、
わたしはわたしを捨てました。
またとべたらいいな。
でもまた飛ばされんのはやだな。
ふぁぁ・・・いいや、めんどい。
もう遅いからとっとと寝てしまいましょう・・・。
そうれがいい、それがいい・・・
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